「あ、待て。」

「あ?」

「待て待て。そっちじゃなくて・・・・・・・・・・ああ、もう、ちょっと待てって!」

「・・・・・・・・・・・・。」

「ほら、こっちだって。」

「・・・・・・・・・なにが違うんだ。」

「あ〜〜〜、何って、ぜんぜん違うだろ!」

「・・・・・・・・・だから、何が。」

「違うじゃねぇか。見て分かんねえの?」

「・・・・・・・・・・どっちもガラスだな。」

「おう。」

「どっちも透明だ。」

「・・・・・おう。」

「どっちも、何かを飲むためのもんだろうなあ。」

「おう・・・・・・・って、そりゃそうだけどよ!」

「じゃあ、どっちでも同じじゃねぇか。」

「いやいやいや。だから違げえんだって!!」

「だから、何が!」

「そっちはフツーのお飲み物とか用の『コップ』だろ!水とか冷たいお茶とか!!
で、こっちの背の低いのが、酒用の『グラス』だって!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なにが違うんだ。」

「違うって言ってんだろがっ!!」

「だから何が。」

「あのなあ。お前が飲むみたいな香りも度数も強い酒用には、ちゃんとそれ仕様のグラスがあるんだよ。」

「違いがわかんねえ。」

「飲めば分かるって。ちゃんと、口をつけたときにおいしく感じるように、傾けたときにより香りが楽しめるように。そういう風に作られてるんだからな。」

「そんなもんか。」

「そうなんだよ。職人さんに感謝して飲め?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、なんでそこで無言だ。」

「いや、感謝するのはかまわねえんだけどな。」

「じゃあ。しとけよ、感謝。」

「でも俺が感謝するのはこのコップ作ったヤツにじゃないだろ。」

「コップじゃねぇ、グラスだ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・グラスをだな。」

「おう。」

「この船に用意してくれたヤツに、感謝するべきなんじゃねぇのかってな。」

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

「俺がこの、グラス、でうまい酒を飲めたとしたら、それはこのグラスを買ってきてここに用意してくれたやつにするべきだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ありがとよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・おう。」




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なんか、私のイメージするゾロはものすごくしゃべる人みたいです(笑)


天然でタラシだといい、とか。

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ふさわしいもの。